トリコンの獄レビュー

映画や漫画、ゲームなでのレビューや考察を「観たままの感覚」で書いていきます!

異端の鳥 作品紹介・感想 少しのネタバレあり

イエールジ・コジンスキーの同名小説「異端の鳥」の映画。

戦争、人種差別、暴力など生々しく描かれる問題作。

視聴の際は要注意。

 

 

 

 

キャスト

ペトルコトラール/少年

ニナ・シュネヴィッチ/マルタ

アーラ・ソコロヴァ/オルガ

ウド・キアミレル

カエラ・ドレジェロバー/ミレルの妻

レフ・ディブリク/レッフ

イトゥカ・ツヴァンツァロバー/ルドミラ

ステラン・スカルスガルドハンス

ハーヴェイ・カイテル司祭

ジュリアン・サンズガルボ

ジュリア・ヴォンドラコーヴァ/ラビーナ

アレクセイ・クラフチェンコ/ガブリーラ

パリー・ペッパー/ミートカ

 

監督 ヴァーツラフ・マルホウル

脚本 ヴァーツラフ・マルホウル

 

あらすじ

老婆と二人で暮らす少年。

ユダヤ人である少年は酷い迫害を受けていた。

元気のない少年に老婆は「すぐに帰れるよ」と諭す。

ある日、椅子に座って動かない老婆を確認すると息絶えており、驚きのあまり持っていたランタンを落とし家屋は全焼。

少年は帰るべき家へと向かう。

 

登場人物紹介

少年

ユダヤ人の少年。

ただ家に帰りたいだけなのに想像を絶する体験をする事になる。

 

マルタ

少年と共に暮らす老婆。

作中で少年との関係性は語られない。

 

オルガ

村の長兼シャーマンのような老婆。

少年への扱いはまだマシ。

 

ミレル

猫好きの農夫。

癇癪持ちでサイコパス

 

ミレルの妻

初めて会う善良な人。

少年を助けようと思う人物。

 

レッフ

無数の鳥を飼育してる男。

少年への扱いはまだ良心的。

でもサイコパス

 

ルドミラ

色情狂の女。

レッフとも関係を持っている。

 

ハンス

ドイツ兵の男。

二人目の善良な人。

少年を助けてくれる。

 

司祭

三人目の善良な人。

少年を保護する。

 

ガルボ

初の極悪人。

少年の人格を歪める原因を作った男。

 

ラビーナ

4人目の善良な人と思わせつつサイコパスな女。

初めて少年をキレさせた。

 

ガブリーラ

ソ連軍の兵士。

真の4人目の善良な人。

少年を保護する。

 

ミートカ

ソ連軍のスナイパー。

5人目の善良な人。

少年に「目には目を、歯には歯を」教え、強く生きるよう教える。

 

鑑賞理由

有名な問題作としてたびたび目にしたため

感想

内容を知らずに、興味本位で観ると100%後悔する映画。

というか序盤でギブする。

というのも白黒の映像でセリフはほぼ無し、BGMに至っては完全に無し。

少年の過酷さにギブする前につまらなさでギブする事になるw

 

それに耐えて観続けると今度は酷い仕打ちの連続で心折れる。

不潔、暴力、性的、アカン描写全部詰め込まれてんちゃうかってくらい酷い表現が無い事が思いつかないレベル。

 

それでもどんな映画なのかを知った上で納得して観ると、素晴らしい映画だと思える。

楽しいとは全く思えないし、笑えるシーンも一切ないけど。

 

にしても、人が死ぬシーンはえーけど、動物が犠牲になるシーンはあんま見たくないもんやな・・・。

大事なシーンではあるんやけどな。

 

で、このブログを書く際に登場人物を書いてて思ったけど、全く救いが無い映画ってワケでも無いんやなと思った。

ガルボスとラビーナ、この二人が居なければまぁまだマシ・・・とは言えないまでも、人格崩壊はしなかったんじゃなかろうか。

その経験ありきでの成長ではあるんやけど、失ったものがデカ過ぎる。

 

大事な事では無いからバラすけど、最終的には成長して救われる終わり方やから、完全な鬱映画では無いし、悲観視する映画では無いと思う。

このネタバレが無いと中盤が恐らく耐えれん。

でも観れるなら観た方が良い経験になる事は間違いないから、観て欲しい気持ちを込めて。

 

とは言え登場人物との関係性やどんな関わり方するのか、どんな仕打ちを受けるのかは観て確認してなw

 

ちなみにハンス役のステラン・スカルスガルドは「マイティ・ソー」や「アベンジャーズ」でセルヴィク博士の人。

マイティ・ソー ダークワールド」でパンツいっちょで走り回ってたから、今作でもイカレた役かと思ったらめっちゃ寡黙な良い人やったwwwすんませんww

 

少年は作中では一切名前を言わない。

ユダヤ人として酷い迫害を受けていたせいで、必要以上に話さなくなってしまっているのが原因。

最後の最後で名前が解る時はようやく一人の人間、キャラクターとして成り立った瞬間に感じた。

驚くべきは素晴らしい演技をしてる少年役のペトル君、俳優でも何でもない、その時に監督が惚れてスカウトしたただの子供って事!

演技の経験も何もないのにあんな過酷な役をプロ並みにこなすのはもう天才なんてもんじゃない気がする✨

 

酷い描写が多く、観るのに相当な精神力、忍耐力が要るけどオススメやし良い映画。

ただ、動物がやられちゃうのが耐えられない人は絶対観ちゃダメ。

結構えげつない。

 

あ、ネコは唯一の癒しやったw

最後に舐めたらアカン「モノ」舐めてるけど、「モノ」の前にちゅ~るかなんか塗ってたんかなww

 

 

 

予備知識

ユダヤ人の人種差別、ドイツとソ連の戦争など知ってるとわかりやすいかも。

作中の言語は「インタースラーヴィク」という人工言語

 

前作

なし

次作

なし

関連作

異端の鳥(イエールジ・コジンスキー) 原作 角川文庫